2023/04/01 08:00
ソフトバンク先発枠を争う“実績組”の変化「サメになった森唯斗」「声を上げ始めた有原航平」
ホークス
2023/05/10 21:00
マグロからサメへ
ソフトバンクで2人の対照的な右腕が激しい先発枠争いに参戦している。
森唯斗投手(31)と有原航平投手(30)。ともに新たな勝負に挑んでいる。かつての絶対的守護神、かたや最多勝投手。一度は揺るぎない立ち位置を築いた2人だが、そのタイプは対照的だ。
森は感情を前面に押し出すスタイル。今季初登板初先発だった4月27日の楽天戦(ペイペイドーム)で本拠地に雄たけびを響き渡らせた。史上6人目の通算100セーブ&100ホールドの実績を持つ鉄腕は、いわゆる“投げたがり”。その性分から自らを「止まったら死んでしまう『マグロ』」と表現していた。そのプレースタイルがあったからこそチーム7試合連続セーブのプロ野球記録も樹立したが、近年はコンディションが整わずパフォーマンスが下降していた。
昨季チームがリーグ優勝を逃した10月2日のロッテ戦(ZOZOマリンスタジアム)の試合直後、自ら監督室のドアをノックし、藤本監督に本格的な先発転向を直訴した。その行動こそが、プロ10年目の今季に懸ける何よりの覚悟の証だ。
今春のキャンプ初日に右脚を痛めいきなり出遅れた。リハビリを続け、開幕後もファームで過ごしていた時期の言葉が印象的だ。
「もう、一度止まったのでマグロじゃないですね。これからは、一度かみついたものは絶対に離さないですよ。『サメ』みたいに」
その待ちに待ったマウンドで、史上最遅となる登板465試合目での先発初勝利。雄たけびには大歓声の中で投げることに飢えていた鉄腕の生きざまが凝縮されていた。今季登板2試合目、5月10日の日本ハム戦(ペイペイドーム)では勝ち投手にこそなれなかったものの5回1失点。サメになった右腕が先発枠をがっちりとつかみとろうとしている。
「闘争心を見せてもらわないと」
森唯斗投手(31)と有原航平投手(30)。ともに新たな勝負に挑んでいる。かつての絶対的守護神、かたや最多勝投手。一度は揺るぎない立ち位置を築いた2人だが、そのタイプは対照的だ。
森は感情を前面に押し出すスタイル。今季初登板初先発だった4月27日の楽天戦(ペイペイドーム)で本拠地に雄たけびを響き渡らせた。史上6人目の通算100セーブ&100ホールドの実績を持つ鉄腕は、いわゆる“投げたがり”。その性分から自らを「止まったら死んでしまう『マグロ』」と表現していた。そのプレースタイルがあったからこそチーム7試合連続セーブのプロ野球記録も樹立したが、近年はコンディションが整わずパフォーマンスが下降していた。
昨季チームがリーグ優勝を逃した10月2日のロッテ戦(ZOZOマリンスタジアム)の試合直後、自ら監督室のドアをノックし、藤本監督に本格的な先発転向を直訴した。その行動こそが、プロ10年目の今季に懸ける何よりの覚悟の証だ。
今春のキャンプ初日に右脚を痛めいきなり出遅れた。リハビリを続け、開幕後もファームで過ごしていた時期の言葉が印象的だ。
「もう、一度止まったのでマグロじゃないですね。これからは、一度かみついたものは絶対に離さないですよ。『サメ』みたいに」
その待ちに待ったマウンドで、史上最遅となる登板465試合目での先発初勝利。雄たけびには大歓声の中で投げることに飢えていた鉄腕の生きざまが凝縮されていた。今季登板2試合目、5月10日の日本ハム戦(ペイペイドーム)では勝ち投手にこそなれなかったものの5回1失点。サメになった右腕が先発枠をがっちりとつかみとろうとしている。
「闘争心を見せてもらわないと」
一方の有原は感情を表に出すタイプではない。
開幕投手を2度務めた日本ハム時代も、マウンド上では表情を変えずひょうひょうと打たせて取るスタイルだった。米球界から3年ぶりに日本復帰した今季は2年前に右肩の手術を受けた影響も考慮され調整は一任されていた。ただ、開幕直前になってもペースを崩さない姿勢に、首脳陣から「もうちょっと闘争心を見せてもらいたい」と苦言を呈されることもあった。
2軍で安定した投球を続けていたものの、昇格が見えてきた5月2日のウエスタン・リーグ阪神戦(タマスタ筑後)で5回4失点。この結果により、1軍合流を同じ新戦力のガンケルへ先に譲る形になった。ここまでは日程の都合や雨天中止の影響もあり週に5試合となるケースが多く、有原の新天地デビューは6連戦が続く交流戦以降にずれ込む見通しだ。
そうした状況にあって、普段は多くを語らない右腕ははっきりと口にした。「早く1軍で投げたい」「いつでも行ける準備はできている」「本当に早く上がりたい」。あらゆる問いに力強く言い切った。1度ではなく何度も、訴えかけるように。
表現の仕方は違っていても、2人には通底するものがある。自信と焦り、期待や重圧。さまざまな感情が交錯する中、かつて1軍のマウンドで投げることが当たり前だった実績組の闘いが続いている。
(鎌田真一郎/YouTube「ももスポチャンネル」より)
開幕投手を2度務めた日本ハム時代も、マウンド上では表情を変えずひょうひょうと打たせて取るスタイルだった。米球界から3年ぶりに日本復帰した今季は2年前に右肩の手術を受けた影響も考慮され調整は一任されていた。ただ、開幕直前になってもペースを崩さない姿勢に、首脳陣から「もうちょっと闘争心を見せてもらいたい」と苦言を呈されることもあった。
2軍で安定した投球を続けていたものの、昇格が見えてきた5月2日のウエスタン・リーグ阪神戦(タマスタ筑後)で5回4失点。この結果により、1軍合流を同じ新戦力のガンケルへ先に譲る形になった。ここまでは日程の都合や雨天中止の影響もあり週に5試合となるケースが多く、有原の新天地デビューは6連戦が続く交流戦以降にずれ込む見通しだ。
そうした状況にあって、普段は多くを語らない右腕ははっきりと口にした。「早く1軍で投げたい」「いつでも行ける準備はできている」「本当に早く上がりたい」。あらゆる問いに力強く言い切った。1度ではなく何度も、訴えかけるように。
表現の仕方は違っていても、2人には通底するものがある。自信と焦り、期待や重圧。さまざまな感情が交錯する中、かつて1軍のマウンドで投げることが当たり前だった実績組の闘いが続いている。
(鎌田真一郎/YouTube「ももスポチャンネル」より)