太宰府主婦暴行死事件~すくえた命~ “文字起こし”問題で新証言 遺族「誰が安全を守ってくれるのか…」
暮らし
2021/10/01 20:20
TNCが検証報道を続ける、太宰府主婦暴行死事件「すくえた命」。
佐賀県基山町の主婦・高畑瑠美さん、当時36歳が亡くなり、間もなく2年が経とうとしています。
事件発生前、遺族が再三にわたって佐賀県警・鳥栖警察署に相談する中で問題視されたのが、遺族に求めた脅迫音声の“文字起こし”でした。
佐賀県警は、対応に不備はなく「文字起こしも求めていない」と否定していますが、その後の関係者への取材で、佐賀県警が議会への勉強会の場で、箇条書きのようなものを遺族に求めていたと説明していたことが分かりました。
ウエディングドレス姿で夫と腕を組む女性、凄惨な暴行を受けて死亡した、佐賀県の主婦・高畑瑠美さん(当時36)です。
こんな幸せが奪われて、間もなく2年が経とうとしています。
◆瑠美さんの母親
「最悪の事態になったことに対してはものすごく悲しんでます。悪かった、可愛そうなことしたと、それがものすごくずっと尾を引いてます」
瑠美さんの異変を感じていた遺族は、佐賀県警・鳥栖警察署に十数回にわたって相談。
言われたとおりに脅迫音声の録音を持って訪れてもなお、捜査に乗り出すことはありませんでした。
◆遺族「被害届をなんで受理せんと」
◆A巡査「そう簡単になんでも被害届を取れるものではない」
◆遺族「何かあってからしか警察は動かないんですか?」
◆A巡査「もちろんそうなん…例えば…あぁぁぁ」
さらにこの時、遺族の反発を招いたのが…
◆瑠美さんの夫 高畑裕さん
「『どれが脅迫か恐喝かわかるようにして持ってこい』と。文字起こしをしてくれと言われたので(再び相談に)行けなかった」
遺族は脅迫音声の文字起こしを求められ、その作業を進める間に瑠美さんが亡くなったと主張してきました。
主張を裏付けるのがこの2枚の資料。
「3時間聞けないので、(犯罪と思う部分を)特定して、証拠として持ってきて」
「今、テープ起こしをしている」
鳥栖警察署への相談から5日後に、弁護士と遺族が交わしたやりとりがメモに残っていました。
遺族が当時、実際に『文字起こし』に追われていた様子が読み取れます。
しかし、これらの証拠を突きつけてもなお、佐賀県警は非を認めることはありませんでした。
◆佐賀県警 杉内由美子前本部長
「県警察では、そのような事実は確認できなかったと発表したところであります」
しかし、その後の関係者への取材で、佐賀県警が議会に対する勉強会の場で「文字おこし」発言を巡り、「録音データを『箇条書き』『要約』したものを持ってきて欲しい」という趣旨の発言だったと説明していたことが分かりました。
つまり、一字一句の文字起こしではないものの、遺族に簡単な録音内容をまとめさせようとした事実はあったというのです。
そこでTNCは改めて佐賀県警に対し、箇条書きや文書作成を遺族に求めたのか、など3つの項目についてインタビュー取材を申し込みました。
ところが-
◆佐賀県警からの回答書
「ご指摘の『箇条書き』や『文章作成』も含め、録音データについて警察官が文字起こしを依頼した事実は認められず…」
またしても「事実は認められない」と文書で回答しました。
その佐賀県警を管理する立場にあるのが、「佐賀県公安委員会」です。
遺族は、佐賀県警の対応の不備を認めてくれると期待しましたが…
◆佐賀県公安委員会 安永恵子委員長(当時)
「一連の対応について私共で検討した。その中で一連の対応の中で不備があると我々は事実認定していない」
遺族から一度も話を聴くことなく、こう結論づけました。
当時の会議のメモは全て廃棄したといい、検証は不可能な状態です。
いったいどのような議論が行われのか、TNCは公安委員会のメンバーに直撃しましたが…
吉冨啓子委員長を直撃ー
◆記者
「TNC報道部古賀と申します、一点だけお伺いしたくてですね、一点だけ少しだけお時間いただけませんか?」
「吉冨さん、一点だけ!」
(返答なし)
牛島英人委員を直撃ー
◆記者
「議論が不透明なままで、遺族の方にはどのように説明されるのでしょうか?牛島さん!」
◆牛島英人委員
「公的なことは、ちゃんと補佐官室のほうに言ってください」
そして10月1日、遺族にとっては「最後の望み」とも言える佐賀県議会が開かれました。
遺族は、太宰府事件の再調査を求める請願書を議会に提出していたからです。
しかし、ここでも-
◆佐賀県議会 議長
「本請願についての委員長の報告は、不採択であります」
◆井上議員
「今回のような事件をもう二度と繰り返さないでほしい。非があるのであれば真摯に認めて、見直すべき点はよりよい方向に進んでほしい。そのような思いで請願を提出されているんです」
再調査に賛成したのは、議員2人だけ。
遺族の願いはついえました。
◆瑠美さんの母親
「やっぱりなとは思います。もう県議も公安委員会も、私たちの思っていることを反映していない。自分たちが言っていることは正しいとかしか言っていない。誰が私たちの安全を守ってくれるのかな、同じ県民として悲しいとしか言えない」
また、9月の佐賀県議会で、議員の1人が佐賀県公安委員会のトップを追及する直前の一幕。
◆自民党・西久保弘克県議
「頑張って」
自民党会派の県議がエールを送ると、両組織のトップがにこやかな笑顔で返します。
1人の命が奪われているのに、なぜ笑みがこぼれるのか。
取材を続けるTNCの記者の目には、「慣れ合いの構図」にしか映りませんでした。
警察の落ち度が指摘されながら誰も責任を取らず、このまま事件にフタをしてしまっていいのか。
佐賀県民に尋ねると-
◆佐賀県民
「自分たちの面倒なことはフタをするじゃないですか、そういう今の行政が嫌ですね、特に警察は嫌ですね」
「家族としては、真相を知りたいというのが本当じゃないですか」
「佐賀県に住むものとしても、しっかりと公表するいろんな事を、悪かったことは悪かったとして、そうしていかないと、反省しているのかなと(思う)」
TNCの取材を受けた佐賀県民のほとんどが、再調査をするべきだと答えました。
すくえた命…
多くの県民が疑問を抱いたまま、瑠美さんの死は過去の出来事にされようとしています。
佐賀県基山町の主婦・高畑瑠美さん、当時36歳が亡くなり、間もなく2年が経とうとしています。
事件発生前、遺族が再三にわたって佐賀県警・鳥栖警察署に相談する中で問題視されたのが、遺族に求めた脅迫音声の“文字起こし”でした。
佐賀県警は、対応に不備はなく「文字起こしも求めていない」と否定していますが、その後の関係者への取材で、佐賀県警が議会への勉強会の場で、箇条書きのようなものを遺族に求めていたと説明していたことが分かりました。
ウエディングドレス姿で夫と腕を組む女性、凄惨な暴行を受けて死亡した、佐賀県の主婦・高畑瑠美さん(当時36)です。
こんな幸せが奪われて、間もなく2年が経とうとしています。
◆瑠美さんの母親
「最悪の事態になったことに対してはものすごく悲しんでます。悪かった、可愛そうなことしたと、それがものすごくずっと尾を引いてます」
瑠美さんの異変を感じていた遺族は、佐賀県警・鳥栖警察署に十数回にわたって相談。
言われたとおりに脅迫音声の録音を持って訪れてもなお、捜査に乗り出すことはありませんでした。
◆遺族「被害届をなんで受理せんと」
◆A巡査「そう簡単になんでも被害届を取れるものではない」
◆遺族「何かあってからしか警察は動かないんですか?」
◆A巡査「もちろんそうなん…例えば…あぁぁぁ」
さらにこの時、遺族の反発を招いたのが…
◆瑠美さんの夫 高畑裕さん
「『どれが脅迫か恐喝かわかるようにして持ってこい』と。文字起こしをしてくれと言われたので(再び相談に)行けなかった」
遺族は脅迫音声の文字起こしを求められ、その作業を進める間に瑠美さんが亡くなったと主張してきました。
主張を裏付けるのがこの2枚の資料。
「3時間聞けないので、(犯罪と思う部分を)特定して、証拠として持ってきて」
「今、テープ起こしをしている」
鳥栖警察署への相談から5日後に、弁護士と遺族が交わしたやりとりがメモに残っていました。
遺族が当時、実際に『文字起こし』に追われていた様子が読み取れます。
しかし、これらの証拠を突きつけてもなお、佐賀県警は非を認めることはありませんでした。
◆佐賀県警 杉内由美子前本部長
「県警察では、そのような事実は確認できなかったと発表したところであります」
しかし、その後の関係者への取材で、佐賀県警が議会に対する勉強会の場で「文字おこし」発言を巡り、「録音データを『箇条書き』『要約』したものを持ってきて欲しい」という趣旨の発言だったと説明していたことが分かりました。
つまり、一字一句の文字起こしではないものの、遺族に簡単な録音内容をまとめさせようとした事実はあったというのです。
そこでTNCは改めて佐賀県警に対し、箇条書きや文書作成を遺族に求めたのか、など3つの項目についてインタビュー取材を申し込みました。
ところが-
◆佐賀県警からの回答書
「ご指摘の『箇条書き』や『文章作成』も含め、録音データについて警察官が文字起こしを依頼した事実は認められず…」
またしても「事実は認められない」と文書で回答しました。
その佐賀県警を管理する立場にあるのが、「佐賀県公安委員会」です。
遺族は、佐賀県警の対応の不備を認めてくれると期待しましたが…
◆佐賀県公安委員会 安永恵子委員長(当時)
「一連の対応について私共で検討した。その中で一連の対応の中で不備があると我々は事実認定していない」
遺族から一度も話を聴くことなく、こう結論づけました。
当時の会議のメモは全て廃棄したといい、検証は不可能な状態です。
いったいどのような議論が行われのか、TNCは公安委員会のメンバーに直撃しましたが…
吉冨啓子委員長を直撃ー
◆記者
「TNC報道部古賀と申します、一点だけお伺いしたくてですね、一点だけ少しだけお時間いただけませんか?」
「吉冨さん、一点だけ!」
(返答なし)
牛島英人委員を直撃ー
◆記者
「議論が不透明なままで、遺族の方にはどのように説明されるのでしょうか?牛島さん!」
◆牛島英人委員
「公的なことは、ちゃんと補佐官室のほうに言ってください」
そして10月1日、遺族にとっては「最後の望み」とも言える佐賀県議会が開かれました。
遺族は、太宰府事件の再調査を求める請願書を議会に提出していたからです。
しかし、ここでも-
◆佐賀県議会 議長
「本請願についての委員長の報告は、不採択であります」
◆井上議員
「今回のような事件をもう二度と繰り返さないでほしい。非があるのであれば真摯に認めて、見直すべき点はよりよい方向に進んでほしい。そのような思いで請願を提出されているんです」
再調査に賛成したのは、議員2人だけ。
遺族の願いはついえました。
◆瑠美さんの母親
「やっぱりなとは思います。もう県議も公安委員会も、私たちの思っていることを反映していない。自分たちが言っていることは正しいとかしか言っていない。誰が私たちの安全を守ってくれるのかな、同じ県民として悲しいとしか言えない」
また、9月の佐賀県議会で、議員の1人が佐賀県公安委員会のトップを追及する直前の一幕。
◆自民党・西久保弘克県議
「頑張って」
自民党会派の県議がエールを送ると、両組織のトップがにこやかな笑顔で返します。
1人の命が奪われているのに、なぜ笑みがこぼれるのか。
取材を続けるTNCの記者の目には、「慣れ合いの構図」にしか映りませんでした。
警察の落ち度が指摘されながら誰も責任を取らず、このまま事件にフタをしてしまっていいのか。
佐賀県民に尋ねると-
◆佐賀県民
「自分たちの面倒なことはフタをするじゃないですか、そういう今の行政が嫌ですね、特に警察は嫌ですね」
「家族としては、真相を知りたいというのが本当じゃないですか」
「佐賀県に住むものとしても、しっかりと公表するいろんな事を、悪かったことは悪かったとして、そうしていかないと、反省しているのかなと(思う)」
TNCの取材を受けた佐賀県民のほとんどが、再調査をするべきだと答えました。
すくえた命…
多くの県民が疑問を抱いたまま、瑠美さんの死は過去の出来事にされようとしています。
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