2021/12/24 13:10
よみがえるダイエー初優勝の熱気 制作者が明かす「王イズムを受け継ぐ男たち」の裏側
ホークス
2021/12/24 14:00
TNCテレビ西日本(福岡市)が10月26日に放送した特番「王イズムを受け継ぐ男たち」のフルバージョンが12月30日午後1時からBSフジで再放送される。
選手、指導者として巨人のユニホームしか着ていなかった王貞治氏(現ソフトバンク球団会長)が福岡ダイエーの監督に就任したのは1994年オフ。万年Bクラスにあえいでいたチームは変貌を遂げ、親会社がソフトバンクとなってからは王監督からバトンを受け継いだ秋山幸二、工藤公康両監督の下で7度の日本一に輝き常勝軍団と呼ばれるようになった。
番組ではここ2年で相次いで球団に戻ってきた小久保裕紀、城島健司両氏の「現役時代にもなかった」という初対談を軸に構成。知られざるエピソードがたっぶり明かされるほか、王監督の下で変革期を歩んだ秋山、工藤、松中信彦各氏、さらにソフトバンク三笠杉彦GMのインタビューを交え、四半世紀以上にわたって受け継がれる「王イズム」とは何かに迫る。
今季限りで監督を退任した工藤氏はユニホーム姿で登場。監督ラストイヤーとなるシーズンに王会長や選手、チームに対する思いを熱く語った。
◇ ◇ ◇
【放送後記】
「小久保ヘッドは自分の言葉で欲しい答えを返してくれる」
今シーズンの開幕当初、定期的に小久保裕紀ヘッドコーチに話を聞くことを勧めてくださったスポーツジャーナリスト安枝新悟さん(今年7月死去)の言葉だ。思えばこの一言が番組のスタート地点ではなかったかと感じている。
球団関係者も記憶にないという「小久保×城島」対談。取材が決まったとき、無性に高ぶる気持ちの一方、それを上回る不安が押し寄せてきた。 番組のテーマは「王イズム」。王貞治さんがダイエーの監督に就任した当時、自分は4歳だった。興味はあっても当時の現場を、リアルを知らない。30代になった自分や同世代以上のホークスファンにとって、あの1999年のダイエー初優勝ほど強烈で、時代を共有できる思い出はない。
だからこそ、上辺をなぞる番組にしてはならない。不安の正体はそれだった。
迎えた取材当日。張り詰めた空気の中、セッティングを終えた部屋に小久保ヘッドコーチ、そして城島健司球団会長付特別アドバイザーが入ってきた。子どものころ、テレビで見ていたスター選手が、当時の出来事をよどみなく語り出す。自分が話すときだけでなく、互いの話を聞く表情も穏やかで、その時ばかりは思うような結果が出ないチームの現状を忘れているように見えた。
番組に出演していただいたのは王球団会長、工藤監督、前監督の秋山幸二さん、松中信彦さん、そして初優勝時のメンバーではないが馬原孝浩さんにナビゲーターをお願いした。誰の言葉も一様に熱い。
工藤監督には予定時間を大幅に過ぎても「まだ聞き足りないことはないの?」と何度も何度も確認された。その姿に、作り手として課された責任の重さを改めて痛感した。
リーグ連覇、そして巨人V9に近づくはずだった日本シリーズ5連覇の夢はついえた。覇権奪回へ改革していくことは必ずある。一方で、変わることのないホークスの「存在意義」もきっとある。歴史をつくった方たちの言葉に接して、そう強く感じた。
当時を知る人もそうでない人も、番組を見た方に少しでも何かを感じてもらえたのであれば作り手冥利に尽きる。安枝さんをはじめ、制作に協力していただいたすべての方に感謝したい。
(TNCスポーツ部ディレクター・内藤賢志郎)
選手、指導者として巨人のユニホームしか着ていなかった王貞治氏(現ソフトバンク球団会長)が福岡ダイエーの監督に就任したのは1994年オフ。万年Bクラスにあえいでいたチームは変貌を遂げ、親会社がソフトバンクとなってからは王監督からバトンを受け継いだ秋山幸二、工藤公康両監督の下で7度の日本一に輝き常勝軍団と呼ばれるようになった。
番組ではここ2年で相次いで球団に戻ってきた小久保裕紀、城島健司両氏の「現役時代にもなかった」という初対談を軸に構成。知られざるエピソードがたっぶり明かされるほか、王監督の下で変革期を歩んだ秋山、工藤、松中信彦各氏、さらにソフトバンク三笠杉彦GMのインタビューを交え、四半世紀以上にわたって受け継がれる「王イズム」とは何かに迫る。
今季限りで監督を退任した工藤氏はユニホーム姿で登場。監督ラストイヤーとなるシーズンに王会長や選手、チームに対する思いを熱く語った。
◇ ◇ ◇
【放送後記】
「小久保ヘッドは自分の言葉で欲しい答えを返してくれる」
今シーズンの開幕当初、定期的に小久保裕紀ヘッドコーチに話を聞くことを勧めてくださったスポーツジャーナリスト安枝新悟さん(今年7月死去)の言葉だ。思えばこの一言が番組のスタート地点ではなかったかと感じている。
球団関係者も記憶にないという「小久保×城島」対談。取材が決まったとき、無性に高ぶる気持ちの一方、それを上回る不安が押し寄せてきた。 番組のテーマは「王イズム」。王貞治さんがダイエーの監督に就任した当時、自分は4歳だった。興味はあっても当時の現場を、リアルを知らない。30代になった自分や同世代以上のホークスファンにとって、あの1999年のダイエー初優勝ほど強烈で、時代を共有できる思い出はない。
だからこそ、上辺をなぞる番組にしてはならない。不安の正体はそれだった。
迎えた取材当日。張り詰めた空気の中、セッティングを終えた部屋に小久保ヘッドコーチ、そして城島健司球団会長付特別アドバイザーが入ってきた。子どものころ、テレビで見ていたスター選手が、当時の出来事をよどみなく語り出す。自分が話すときだけでなく、互いの話を聞く表情も穏やかで、その時ばかりは思うような結果が出ないチームの現状を忘れているように見えた。
番組に出演していただいたのは王球団会長、工藤監督、前監督の秋山幸二さん、松中信彦さん、そして初優勝時のメンバーではないが馬原孝浩さんにナビゲーターをお願いした。誰の言葉も一様に熱い。
工藤監督には予定時間を大幅に過ぎても「まだ聞き足りないことはないの?」と何度も何度も確認された。その姿に、作り手として課された責任の重さを改めて痛感した。
リーグ連覇、そして巨人V9に近づくはずだった日本シリーズ5連覇の夢はついえた。覇権奪回へ改革していくことは必ずある。一方で、変わることのないホークスの「存在意義」もきっとある。歴史をつくった方たちの言葉に接して、そう強く感じた。
当時を知る人もそうでない人も、番組を見た方に少しでも何かを感じてもらえたのであれば作り手冥利に尽きる。安枝さんをはじめ、制作に協力していただいたすべての方に感謝したい。
(TNCスポーツ部ディレクター・内藤賢志郎)
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