2023/01/10 18:55
ソフトバンク和田が発案「旦過市場復興支援企画」スタート きっかけは旅番組、沖縄と福岡をつなぐ思い
ホークス
2023/01/14 15:00
ソフトバンクの和田毅投手(41)よる企画「旦過市場復興支援チャリティー」が14日にスタートした。
福岡県北九州市の旦過市場は昨年4、8月と2度の大火で甚大な被害を受けた。地元テレビ局の番組企画で2021年12月に同市場を訪れた和田投手は心を痛め「自分にも何か役に立てることはないか」と思案。番組スタッフらとともに沖縄を訪ね、2019年の火災から復興の道中にある首里城などを巡り支援策のヒントを探った。
チャリティー企画はプロ野球選手や球団による慈善活動のサポートなどに取り組むNPO法人「ベースボール・レジェンド・ファウンデーション」の運営協力により実施中。期間は和田投手の42歳の誕生日、2月21日まで。詳細は公益的な活動を行う非営利団体による寄付活動のプラットフォーム「シンカブル」のサイトへ。
◇ ◇ ◇
「沖縄はどうですか?」
きっかけはその一言だった。
福岡ソフトバンクホークス、和田毅投手。2003年にホークス入団後、新人王、最多勝やシーズンMVPなどのタイトルを獲得し、メジャーリーグでもプレーした。日本球界に復帰した16年に最多勝、勝率第1位の2冠に輝き、42歳(2月21日生まれ)で迎える今シーズンもチームに欠かせない戦力として第一線を走り続ける。いうまでもなくプロ野球を代表する投手の一人だ。
和田投手は毎シーズンオフ、故郷の島根県出雲市で自身の名を冠した少年野球教室を開催している。目的は野球を通しての地域、社会貢献だ。夢を持つこと、継続して取り組むことの大切さを次代を担う人材に伝えたいー。そんな和田投手の思いを日ごろから聞いていたのが、ホークスOBで野球解説者の池田親興さん、そして新聞記者時代から20年以上にわたりホークスを取材してきたスポーツジャーナリストの安枝新悟さん(故人)だった。
TNCテレビ西日本の報道番組「CUBE」で長年共演する2人は和田投手の地元での活動を福岡のファンにも伝えたいと考え、番組スタッフとともに野球教室の取材を計画。和田投手に打診したところ、快諾どころか驚きの提案をもらった。
「どうせなら一緒に出雲をぶらぶら旅する、という企画はどうですか?」
こうしてスタートしたのが「和田投手と行くぶらり旅」シリーズだ。18年オフに島根・出雲を歩き、19年オフは池田さんの故郷である宮崎・高鍋へ。20年オフは安枝さんの故郷福岡・北九州を訪ねる予定だったがコロナ禍で見送られた。毎年この企画を楽しみにしていた安枝さんは21年7月に病気のため55歳で死去。和田投手も池田さんも「約束を果たしたい」と旅の継続を訴え、番組スタッフも異論なく「北九州編」が実現した。
21年12月に行われたロケで、和田投手が初めて訪れたのが「北九州の台所」と呼ばれる旦過市場だった。安枝さんのなじみの店で名物のぬか炊きに舌鼓を打つなど人情に触れた和田投手は、昭和の香りを色濃く残すこの市場にすっかり心を奪われた。昨年4月、そして8月と市場は短期間で2度の大火に見舞われる。心を痛めた和田投手が番組スタッフに提案したのが、冒頭の言葉だったのだ。
「ぶらり旅」は3人の出身地を巡り終えたことで一応の完結を見たが、番組スタッフはこのまま企画を終わらせるべきか思案。続けたいものの現役選手にさらなる負担を懸けてしまうのも...と考えていたところに、和田投手の方から継続の申し出があった。沖縄のシンボルでもある首里城は19年秋の大火で正殿など広範囲を焼失。和田投手は「旦過市場の皆さんの思いを理解してもらえるのは沖縄の方々ではないか」と考え、チャリティーによる復興支援を思いついた。
沖縄ロケは昨年12月に行われ、中日から移籍して1年目のシーズンを終えた沖縄県出身の又吉克樹投手もサプライズで出演。和田投手と同学年の元投手、新垣渚さんのお兄さんが営む飲食店にも足を運んだ。今年1月に2週にわたって放送した「沖縄編」は2人の人柄もあり、ほのぼのとしたムードの中に福岡と沖縄をつなぐストーリーがあふれる構成となった。
知らない場所をぶらりと歩き、たすきをつなぐように次の地へ。和田投手の言葉から始まった「ぶらり旅」シリーズは思いがけない形で進化している。首里城も旦過市場も復興にはまだまだ時間がかかる。和田投手は「多くの方に協力してもらえたらうれしい」と話している。
(スポーツジャーナリスト・山本泰明、TNC「福岡NEWSファイルCUBE」チーフディレクター・城功祐)
福岡県北九州市の旦過市場は昨年4、8月と2度の大火で甚大な被害を受けた。地元テレビ局の番組企画で2021年12月に同市場を訪れた和田投手は心を痛め「自分にも何か役に立てることはないか」と思案。番組スタッフらとともに沖縄を訪ね、2019年の火災から復興の道中にある首里城などを巡り支援策のヒントを探った。
チャリティー企画はプロ野球選手や球団による慈善活動のサポートなどに取り組むNPO法人「ベースボール・レジェンド・ファウンデーション」の運営協力により実施中。期間は和田投手の42歳の誕生日、2月21日まで。詳細は公益的な活動を行う非営利団体による寄付活動のプラットフォーム「シンカブル」のサイトへ。
◇ ◇ ◇
「沖縄はどうですか?」
きっかけはその一言だった。
福岡ソフトバンクホークス、和田毅投手。2003年にホークス入団後、新人王、最多勝やシーズンMVPなどのタイトルを獲得し、メジャーリーグでもプレーした。日本球界に復帰した16年に最多勝、勝率第1位の2冠に輝き、42歳(2月21日生まれ)で迎える今シーズンもチームに欠かせない戦力として第一線を走り続ける。いうまでもなくプロ野球を代表する投手の一人だ。
和田投手は毎シーズンオフ、故郷の島根県出雲市で自身の名を冠した少年野球教室を開催している。目的は野球を通しての地域、社会貢献だ。夢を持つこと、継続して取り組むことの大切さを次代を担う人材に伝えたいー。そんな和田投手の思いを日ごろから聞いていたのが、ホークスOBで野球解説者の池田親興さん、そして新聞記者時代から20年以上にわたりホークスを取材してきたスポーツジャーナリストの安枝新悟さん(故人)だった。
TNCテレビ西日本の報道番組「CUBE」で長年共演する2人は和田投手の地元での活動を福岡のファンにも伝えたいと考え、番組スタッフとともに野球教室の取材を計画。和田投手に打診したところ、快諾どころか驚きの提案をもらった。
「どうせなら一緒に出雲をぶらぶら旅する、という企画はどうですか?」
こうしてスタートしたのが「和田投手と行くぶらり旅」シリーズだ。18年オフに島根・出雲を歩き、19年オフは池田さんの故郷である宮崎・高鍋へ。20年オフは安枝さんの故郷福岡・北九州を訪ねる予定だったがコロナ禍で見送られた。毎年この企画を楽しみにしていた安枝さんは21年7月に病気のため55歳で死去。和田投手も池田さんも「約束を果たしたい」と旅の継続を訴え、番組スタッフも異論なく「北九州編」が実現した。
21年12月に行われたロケで、和田投手が初めて訪れたのが「北九州の台所」と呼ばれる旦過市場だった。安枝さんのなじみの店で名物のぬか炊きに舌鼓を打つなど人情に触れた和田投手は、昭和の香りを色濃く残すこの市場にすっかり心を奪われた。昨年4月、そして8月と市場は短期間で2度の大火に見舞われる。心を痛めた和田投手が番組スタッフに提案したのが、冒頭の言葉だったのだ。
「ぶらり旅」は3人の出身地を巡り終えたことで一応の完結を見たが、番組スタッフはこのまま企画を終わらせるべきか思案。続けたいものの現役選手にさらなる負担を懸けてしまうのも...と考えていたところに、和田投手の方から継続の申し出があった。沖縄のシンボルでもある首里城は19年秋の大火で正殿など広範囲を焼失。和田投手は「旦過市場の皆さんの思いを理解してもらえるのは沖縄の方々ではないか」と考え、チャリティーによる復興支援を思いついた。
沖縄ロケは昨年12月に行われ、中日から移籍して1年目のシーズンを終えた沖縄県出身の又吉克樹投手もサプライズで出演。和田投手と同学年の元投手、新垣渚さんのお兄さんが営む飲食店にも足を運んだ。今年1月に2週にわたって放送した「沖縄編」は2人の人柄もあり、ほのぼのとしたムードの中に福岡と沖縄をつなぐストーリーがあふれる構成となった。
知らない場所をぶらりと歩き、たすきをつなぐように次の地へ。和田投手の言葉から始まった「ぶらり旅」シリーズは思いがけない形で進化している。首里城も旦過市場も復興にはまだまだ時間がかかる。和田投手は「多くの方に協力してもらえたらうれしい」と話している。
(スポーツジャーナリスト・山本泰明、TNC「福岡NEWSファイルCUBE」チーフディレクター・城功祐)