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「博多和牛」が全国大会で初入賞 飼育の秘けつは「おはよう」 消費拡大へ抱える課題も 【福岡発】

暮らし

2022/11/19 06:00

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福岡県のブランド和牛『博多和牛』。

和牛のオリンピックとも言われる全国大会で初めて入賞を果たし、福岡の畜産業の明るい兆しになっています。

「ジュ~」

強火で一気に焼き上がる霜降り肉。

音と煙が食欲をかき立てます。

福岡県に本社を置く焼肉店「ヌルボン」。

この店では、地元福岡の自慢のブランド和牛を提供しています。

◆「ヌルボン」仲義雄 社長
「こちら、博多和牛です」

柔らかい赤身にきめ細やかなサシが入った福岡県のブランド牛『博多和牛』です。

2005年に福岡県で誕生した『博多和牛』は、県内の登録された生産者が約20カ月間かけて徹底管理して育てた牛だけしか名乗れません。

◆「ヌルボン」仲義雄 社長
「博多和牛を13年前から一頭買いして提供しているっていうのがヌルボンの一番の特徴」

この店では、地元福岡県のブランド牛を応援しようと、誕生して間もない頃から提供してきました。

◆「ヌルボン」仲義雄 社長
「博多和牛というのは他のブランドより遅れてスタートしてきているので、生産者が非常に肉質の改善だったりを今まさに取り組んでいるところです」

和牛のトップブランドになるべく、畜産農家が日々愛情を込めて育てる『博多和牛』にうれしいニュースが…

10月、鹿児島で行われ、岸田首相も出席した和牛のオリンピックとも言われる大会で『博多和牛』が入賞しました。

肉質や脂肪の質が高く評価された、福岡県で初めての快挙です。

その福岡の和牛の歴史を塗り替えた一頭を、ヌルボンが競り落とし、現在、県内の店舗で提供をしています。

◆記者リポート
「(試食)とろけます。和牛の甘みが口の中にジュワっと広がって、すごく美味しいです」

◆「ヌルボン」仲義雄 社長
「皆様が良い博多和牛を作ることに精魂込めて手間をかけて作っていますので、その努力の成果が良い牛ができて美味しく召し上がっていただけるようになった」

では、全国大会で入賞した『博多和牛』はどのようにして育てられたのでしょうか?

◆川崎キャスター
「筑紫野市の農家にやってきたんですけど、いますね、見えますか?黒毛の大きな牛が…」

川崎キャスターが訪ねたのは、全国大会で入賞した『博多和牛』を育てる畜産農家です。

こちらの平山英一さんは、『博多和牛』が誕生した17年前から、子牛から育て出荷しています。

◆川崎キャスター
「優等賞とれた秘けつは?」
◆平山英一さん
「子牛の時点でストレスをいかに与えないように減らしていくか。子牛の段階で風邪とか肺炎を起こすと、最後大きくならなかったり、弊害が出てきます」
◆川崎キャスター
「ストレスを与えないということだが具体的には?」
◆平山英一さん
「朝、最初に来た時点で、牛全部に声をかけて『おはよう』と起こすんですよ」

質が高い『博多和牛』を育てるには、子牛の時期が肝心。

声をかけながら愛情を持って接します。

やわらかい肉質を作り出すのは、福岡県産の良質な稲わらを主食にしているため。

さらに、トウモロコシやビールかすなど、独自で配合したエサも与え、健康管理を徹底します。

◆川崎キャスター
「どのあたりのコストが大変ですか?」
◆平山英一さん
「エサがずっと上がってきている。今は円安で。すべて上がっていますから、かなりコストがあがって厳しい」

エサは輸入穀物が多く、去年に比べて約3割ほどコストが増えているといいます。

さらに、畜産業界全体が抱える問題も…

◆川崎キャスター
「平山さんの後継者は?」
◆平山英一さん
「息子は2人いますけど、就職して働いています」
◆川崎キャスター
「ここは継がないということですか?」
◆平山英一さん
「だと思います」

後継者問題です。

全国の畜産農家は年々右肩下がりで、今年は約4万軒となっています。

畜産業界が厳しい状況に置かれるなか、今回の全国大会での入賞は『博多和牛』の生産者たちを元気づける出来事となりました。

◆川崎キャスター
「和牛オリンピックの表彰がいい兆し?」
◆平山英一さん
「だんだん知名度があがってきているので、消費者にもっと知ってもらいたい」

全国に名を刻んだ「博多和牛」。

消費拡大のチャンスにつなげることはできるでしょうか。

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