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コロナ患者の遺体“顔は見られません” 妻との別れできず「本当に悔しい」 葬儀の現場は 【福岡発】

暮らし

2023/01/05 14:30

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愛する家族が亡くなったのに最期の別れが出来ないー

いまだ続くコロナ禍は、死別の風景も一変させています。

後悔の念を抱き続ける遺族の思いを取材しました。

福岡県筑紫野市に住む篠倉邦男さん、80歳。

篠倉さんは2022年8月、50年以上連れ添った妻の久枝さん(享年85)を亡くしました。

愛する妻との「最期の別れ」を巡って、今も「後悔の念」を抱き続けています。

◆篠倉邦男さん(80)
「本当に悔しい。最期のお別れしてあげたかった」

久枝さんは2022年8月に体調を崩し入院した際に、コロナへの感染が判明。

その5日後に亡くなり、篠倉さんが葬儀業者に連絡をすると、「コロナ患者の遺体を安置する場所がなく、きょう中に火葬しなければいけない」と告げられました。

そして、その夜に行われた「火葬」の際に、担当者から耳を疑う言葉がー

◆篠倉邦男さん
「棺が到着したから『お別れをさせてもらえんか』と言ったら、『(遺体は)ビニール袋に入っていて顔は見られません』と(担当者が)言った。それで、私も息子夫婦も娘も、最期のお別れができなかった」

新型コロナ感染者の遺体は、空気の漏れない「納体袋」に入れられ、病院から火葬場まで運ばれます。

厚生労働省は「遺体は飛沫感染のおそれはなく、感染リスクは低い」とした上で、2022年6月に「顔の部分が透明な納体袋」を使用するよう周知しました。

しかし、今も現場の対応はまちまちで、「最後の別れ」の際に顔が見られないケースが相次いでいるといいます。

◆篠倉邦男さん
「運がいい人なんですよ、家内は。家内の運に私は引っ張られて。運がよくて楽しい人生やった。可愛い良い人やった。家内がおらんくなって寂しくてたまらん」

近所の居酒屋で妻・久枝さんと2人で晩酌をするのが何よりの楽しみだったという篠倉さん。

コロナ陽性者だったため通夜も行えず、強い近眼だった久枝さん愛用のメガネを棺に入れることもできませんでした。

◆篠倉邦男さん
「火葬場での最期のお別れができなかった。それが本当に悔しい、本当に悔しい」

コロナ禍でも「最期のお別れを」ー

葬儀や火葬の現場では試行錯誤が続いています。

◆総合葬祭「天国社」 執行洋隆さん
「納体袋です。透明になっているので、最後お顔がご覧になれるという利点がある」

福岡市内を中心に斎場を営む「天国社」では、当初、コロナ感染者の遺体は、透明の袋に入れた後に非透明の袋に入れて二重で包んでいましたが、厚労省の指針に従って2022年から透明の袋だけに変えて対応しています。

◆総合葬祭「天国社」 執行洋隆さん
「最後のお別れをしっかりしてもらいたい。『お別れをしたい』というご意向があったので、インナー(透明の袋)だけでやろうとスタートしました」

葬儀業者としては、一日でも早く通常通りの葬儀ができることを望んでいます。

◆総合葬祭「天国社」 執行洋隆さん
「願わくば通常通りの葬式ができれば、故人もご家族もお喜びになられるのではないかと」

(TNC報道ワイド「記者のチカラ」 2022年12月22日OAより)

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