1. HOME
  2. 安打の半分がホームラン 打率1割台でもリチャードを起用し続けるソフトバンクの狙い

安打の半分がホームラン 打率1割台でもリチャードを起用し続けるソフトバンクの狙い

ホークス

2021/09/27 07:00

 ◇ソフトバンク4‐1日本ハム(26日・ペイペイドーム)

 前日ベンチ外だったソフトバンクのリチャードが2試合ぶりのスタメン起用に応えてチームを勝率5割復帰へ導いた。

 1点を追う6回、デスパイネが9試合連続安打となる同点タイムリー。工藤監督が「追いついたことで雰囲気ががらっと変わった」という試合の流れをリチャードが決定づけた。

 同点の7回、投手はこの回から代わった3番手の井口。先頭のリチャードは初球の内角球をファウルにした後、2球目の変化球を左翼テラス席へ運んだ。「だいぶ詰まっていた。いくと思っていたけど、ギリギリでした」と頭をかいたが、持ち味のパワーを見せつけるアーチとなった。

 2日にプロ初昇格し出場17試合目。すべてスタメンで53打数10安打、打率は2割にも満たないが首脳陣は明確な意図をもって起用し続けている。工藤監督は「打率で勝負強さを語っていいか分からないが、変に臆することなく打席で自分のバッティングをしようというのが結果につながっている」と目を細める。10安打のうち5安打が初アーチのグランドスラムを含む本塁打。今のリチャードはそれでいい、という判断だ。

 本拠地の試合前練習で王会長が熱心に指導する光景はおなじみとなった。小久保ヘッドコーチの視線も熱い。7回に勝ち越しアーチを放つ前、ベンチでのやりとりをリチャードが明かす。

 「1、2打席目を踏まえてヘッドと話をして、企業秘密なんですけど『こうなると思うよ』とヒントみたいなことを言われて。『あとは打席に入ってのお楽しみだ』みたいに」。実際にその通りのボールが来たのか、と問われると「いや....ああ、そうですね」と言葉を濁しながらも、打席での考え方についてもらったアドバイスが結果につながったことを強調した。

 25日の試合は昇格後初のベンチ外だった。先発バーヘイゲンに対しスタメンには左打者を起用。工藤監督は「右(打者)より左がいいのかなと。代走、守備とかも考えると代打でも順位は下がるし、(リチャードは)最初から使う(スタメン)というところで上げたので」と説明していた。そして翌日、スタメン復帰し同点の場面で決勝弾、さらに8回に駄目押しの犠飛。工藤監督は「ああいうところの1本でいい。あとはブンブン振ってくれれば」とうれしそうに語った。

 王会長、工藤監督、小久保ヘッドコーチ。多くの助言や配慮を受け結果を出したリチャードは「今日はいろんな人のホームラン。自分のホームランじゃない」と謙虚に言う。そして、ベンチで孫オーナーに「ナイスホームラン」と言って出迎えられた際の感想を興奮気味に口にした。

 「初めて見ました。優しそうでした。名前を覚えてもらっていたらうれしいです」

 安打の半分がホームラン。ロマンあふれる大砲候補がたくさんの愛情を栄養にしながら、すくすくと育ち初めている。

あなたにおすすめ

  1. HOME
  2. 安打の半分がホームラン 打率1割台でもリチャードを起用し続けるソフトバンクの狙い